ロードバイクで走ることによる疲労
走っている時は爽快なロードバイクですが、当然ながら走れば走るほど疲労が蓄積されるのは仕方がないこと。競技目的のため高強度のトレーニングを行う方はもちろん、自分のように健康維持やダイエットが目的であってもそれなりの疲労が発生します。
時速20km程度でも1時間走ると350~400kcal、ということは5時間走ると1,700~2,000kcalにもなります。成人男性が1日に消費する平均的なエネルギーが2,000~2,500kcalと言われますから5~6時間走ろうものなら1日分のエネルギーを使いきることに。もちろん速度が速かったり勾配のあるところを走ればさらにエネルギーを使うわけですから、実はとても過酷なスポーツなんですよね。
ロードバイクで走ることによって発生する疲労とその原因を考えてみると
- 運動することによって発生する糖質・たんぱく質の枯渇
- これまた運動することによって発生する筋繊維の損傷
- 公道を走ることで発生する精神的疲労
などが考えられるかと思います。
いずれもロードバイクで走る上で避けることのできないものばかり。どうやっても疲労が蓄積する以上、あとはいかにして効率的に回復を行うかが大切になります。
プロのライダーであれば「日々のトレーニングに支障をきたさない」「レースで最高の成績を残す」ためでしょうし、ホビーライダーでも「日常生活(仕事だったり学業だったり)に支障をきたさない」ことは重要です。我々のような社会人であれば趣味で力を使い果たして仕事にならないなんて言い訳が通るわけもありません。(キツい言い方かも知れませんが仕事に支障をきたすような趣味はあってはならないと思います。)
疲労回復と回復の手段について
回復は人間(というか生き物)であれば最初から備わっている生理的な機能です。ロードバイクに限らず、疲労は必ずついてまわるものですからスムーズな回復を行うことは生きていく上でも大切なことだと言っても過言はないはず。まずは生来持っている回復機能をできる限り最大限発揮できるようになりたいものです。
そこでまずは疲労回復のための手段を簡単にまとめてみます。といっても直接回復を行う手立ては睡眠と食事の2つだけです。それぞれ見てみましょう。
寝る
単純ですがこれが一番。ヒトは眠っている間に成長ホルモンと呼ばれる物質を体内で分泌し、肉体の傷んだ部分の修復を促進します。寝るといってもトレーニング後に30分~1時間程度の仮眠をとるだけでも回復に差がでると言いますし、夜寝る場合でも俗にいう質の高い睡眠をとることができれば回復もより一層すすむとも言われます。
質の高い睡眠についてはまた別の機会でまとめたいと思いますが、ひとまず回復の手段として睡眠は有効であるということは覚えておきたいですね。
食事
我々人間は、植物のように光合成によって養分を作るわけではありませんので食事によって必要な栄養素を外部から摂取する必要があります。三大栄養素と言われる糖質・たんぱく質・脂質はもちろんビタミン・ミネラルなど様々な栄養素をバランスよく摂取しないといけません。
その中でも糖質とたんぱく質は特に重要。筋肉を動かすのに必要なのがグリコーゲンであり、グリコーゲンを体内で合成するために必要なのが糖質。また筋肉のみならず身体を作ったり傷んだ部分を修復するために欠かせないのがたんぱく質。
いずれも取り過ぎは身体を壊す元となるため過剰摂取はいけませんが、必要な量を採らないと回復を妨げる要因となってしまいますので適切なタイミングで適切な量を摂取するよう心掛けたいところです。
疲労回復をスムーズに行うポイントは血流
上記のとおり回復を行うための具体的な手法は睡眠と食事の2つだけ。あとはそれらの効果を可能な限り高めるしかスムーズな疲労回復を行う手立てはありません。
そこで重要になるのが血流。血液の流れがスムーズになることで
- 呼吸で取り込んだ酸素を効率よく運ぶ
- 食事によって摂取した栄養素を適切に運ぶ
- 体内に蓄積された疲労物質をスムーズに除去する
といったように回復に必要な事象がスムーズに行われるようになります。
そこで血流をスムーズにして回復を助けてくれる手段をあげてみましょう。
ストレッチ
ウォーミングアップでも取り入れられるストレッチ。ゆっくりと筋肉を伸ばして血流をよくし筋肉を温めてやることで筋肉が収縮しやすくなり、運動中の筋繊維の損傷を抑えることができると言われています。また運動後に行うことで筋肉にたまった疲労物質を速やかに除去し、筋疲労を和らげる手助けをしてくれます。
マッサージ
こちらは外側から筋肉に刺激を与えることで筋肉の血流をよくして回復を促します。
筋肉によってはストレッチの効果が得られない部位があり、必然的にそこはマッサージで回復させる必要が発生します。
プロの手を借りれば効果も大きいですがお財布に響くという弱点も持ち合わせていますのでそれぞれの状況に合わせて導入するのがよさそうですね。
アクティブレスト(回復走)
ハードに走った翌日に自転車に乗るなんて!と思われる方もいらっしゃるでしょうが実は簡単なわりに効果があります。素人の自分でも実感できるぐらいなので間違いないかと。
回復走の目的は軽く心拍数を上げて血行をよくすることで回復を促すこと。
口呼吸にならない程度を目安に、軽いギアで無理なく30分~1時間程度走るだけでその後の回復具合が大きく異なってきます。
疲労回復を時間軸で考える
回復というと運動した後に目が行ってしまいますが、運動中の疲労や筋肉の損傷を抑えるための準備も回復の一部だと考えれば実は運動前から始まっているのです。
それぞれの過程について見てみましょう。
練習前と練習中
ここはどちらかというと運動中の疲労を軽減することが目的の動作となるので纏めて考えます。
ウォーミングアップで筋肉を温めたり心肺に活を入れることで練習中の疲労や筋肉の損傷を低減することができます。また運動前や運動中適切に水分や糖質を摂取することで体内のエネルギー再生能力を高めることができるでしょう。
インターバルトレーニングのように負荷の高い練習を行う場合は、間で設けるクールダウンも適度な血流を保って疲労物質を速やかに除去するのに役立っています。
練習の終わりにもクールダウンを行ってトレーニングモードに入っている筋肉や心肺を緩やかにもとの状態へ戻してやることで、後々の回復期間にも好影響を望むことができるでしょう。
練習の直後
ハードなものであれ適度なものであれロードバイクで走った後は体内の糖質が失われ、少なからず筋肉にも損傷が発生します。
ヒトの身体とはよくできたものでこうした状況に置かれると体内での栄養の吸収率が上昇するのだそう。運動後30分以内がゴールデンタイム!と言われるのはこのためであり、速やかに糖質とたんぱく質を摂取することで傷んだ身体の修復がスムーズに行われるようになるのです。
摂取する糖質とたんぱく質をおよそ3:1の割合で摂ると最も効果的と言われています。
この他に、血行を促進する目的で熱いシャワーを浴びた後冷水につかるのを数セット繰り返すのも効果的だそう。実際にやっている人の話を聞くと「冷水につかる」のがトレーニングのどのメニューより辛い…だそうですが。
つまり糖質とたんぱく質を適量摂取した後に体内の血流を保つことが大切になるということです。
練習後~次のトレーニングに向けて
トレーニング直後の回復に必要な所作を済ませたらあとは次へ向けた休養をしっかり取ること。
30分~1時間程度の仮眠を取ると成長ホルモンが分泌されて疲労回復に大きな効果があると言われています。ただし寝すぎると夜寝られなくなるなどの弊害もあるのであくまで短時間が理想的ですね。
トレーニングの翌日ではアクティブレスト(回復走とも)を挟むことで体内の疲労物質除去を促進する効果も期待できるでしょう。もちろん「それすらやる気にならないほど疲れている」と感じる場合は完全な休養としてもいいでしょう。無理をして走って事故でもすれば洒落になりませんから。
まとめ
走っているときは楽しいロードバイクですが、実は走行後の身体の疲労度って結構高いですよね。
せっかくの趣味(場合によっては職業!?)で日常生活に疲れを持ち越さないためにも次のトレーニングを万全の体調で迎えるためにも疲労の回復は怠らないほうがいいと思います。今回の内容を簡単にまとめておくと
- 疲労の回復を行う直接的な手段は睡眠と食事の2点
- 疲労物質の除去および栄養の運搬をスムーズに行うには血流が大切
- 糖質とたんぱく質を適宜摂取することでトレーニング後の回復を助ける
ということになるでしょうか。
人間に生来備わっている回復能力を最大限に発揮して、より楽しい自転車ライフを送れるようにしたいものです。