五大栄養素と言われる炭水化物、たんぱく質、脂質、ビタミン、ミネラル。
現代の食事で摂取しやすい栄養素はごはんや麺類などで摂取することでエネルギー源となる炭水化物、肉や魚などから摂取し身体を作る主成分となるたんぱく質、肉類の脂身や食用油脂から摂取する脂質の3つと言われています。
それに対して野菜や果物、乳製品などから摂取するビタミンやミネラルは現代人に不足しがちな栄養素。ここではビタミンの役割について見てみましょう。
ビタミンとは
「ビタミンは野菜や果物に豊富に含まれている」というのはご存知だと思います。ではビタミンとはどんなものなのでしょうか?
エネルギー産生栄養素に比べ微量ではあるものの、人体の機能を正常に保つため必要な有機化合物。体内ではほとんど合成することができないため、食物から摂取する必要がある。
厚生労働省 eーヘルスネットより引用
ビタミンは生物の生存・生育に微量に必要な栄養素のうち、その生物の体内で十分な量を合成できない炭水化物・たんぱく質・脂質以外の有機化合物の総称である。
Wikipediaより引用
というように直接的に人にとってのエネルギー源ではないものの体の機能を維持するために必要なものだということが分かります。そして体内で体内でほとんど合成できないため食物から摂取することが必要ということもポイントです。
ビタミンにはいくつか種類がありますので順に見てみましょう。
脂溶性ビタミン
水にはほとんど溶けず、脂に溶けやすい性質を持つビタミンです。ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンKの4種類が存在しています。尿で排出されにくく過剰に摂取した場合体内に溜まるため、過剰症を引きおこす可能性があり注意が必要です。
ビタミンA
ビタミンAは皮膚や粘膜の健康維持、資格にかかわる色素たんぱく質の合成、身体の成長などに関与しています。動物性であれば肝臓(豚や鶏のレバー)やウナギやプロセスチーズなど、植物性であればニンジンやホウレンソウなどに豊富に含まれています。
植物性の場合厳密にはビタミンAではなくその前駆体であるβ-カロテンが含まれており、体内で必要な分だけビタミンAへ変化します。必要なければ体外へ排出されるのでこちらは過剰摂取の恐れがほとんどないと言われています。
ビタミンD
ビタミンDはカルシウムと関わりあうことで身体づくりをサポートしてくれます。食事からの摂取以外にも1日に30~60分程度の日光浴を行うことで体内で合成できることが知られています。
食品から摂取する場合は魚類(特に鮭やサンマ)やキノコ類(特に干しシイタケ)の他、卵(主に黄身部分)にも含まれています。
ビタミンE
ビタミンEは細胞膜に存在し、健康維持の役割を担っています。また脂質の酸化を防止する働きがあることから食品の添加物(抗酸化剤)としても利用されています。
メカジキやウナギの他カボチャやアーモンドに豊富に含まれていますが、その他の食品にも幅広く含有されており極端に偏った食生活を送っていなければ不足したり過剰になったりする恐れはあまりないとされています。
ビタミンK
ビタミンKは血液凝固や骨の健康維持にかかわるビタミンです。腸内でも合成されるのですが、必要な量を賄えるほどではないため足りない分は食事で補うことになります。
納豆・ホウレンソウ・小松菜・ブロッコリー等に含まれており、ビタミンE同様極端な偏りのない食生活をお送っていれば欠乏症や過剰症に悩まされることはあまりないと言われています。
水溶性ビタミン
こちらは水に溶けやすい特徴を持ったビタミンです。水に溶けやすい=流出しやすいため煮たり茹でたりといった調理法はあまり向いていないものが多いです。
体内で不足した場合欠乏症になるものの、過剰摂取した分は余程のことがない限り尿として排出されます。
ビタミンC
ビタミンCはコラーゲンの生成による皮膚や粘膜の健康維持、鉄(特に非ヘム鉄)やカルシウムなどのミネラル分の吸収促進の他にも体内の様々な生化学反応に関わる重要な物質です。
ビタミンC=レモン!というイメージがありますが、実はピーマン・ブロッコリー・キウイフルーツなどが豊富なビタミンCを含んでいます。
長時間の過熱は避け、煮汁ごと食べれるスープのような調理法を取るか生のまま摂取する方がより多くのビタミンCを摂取しやすくなります。
ビタミンB1
ビタミンB1は主に糖質の代謝に関係し体内のエネルギー産生に重要な働きをします。
豚肉(とくにヒレ肉)に豊富に含まれるほか玄米や枝豆にも含まれています。
ビタミンB2
ビタミンB2は脂質の代謝にかかわる物質で動物性なら魚・卵・乳製品、植物性なら納豆・ホウレンソウ・モロヘイヤなどに含まれています。
ビタミンB6
アミノ酸の代謝や再合成、神経伝達等に関与する物質です。赤身の魚やヒレ肉やササミなど脂肪の少ない部位に含まれるほかバナナやサツマイモ、玄米等にも含まれています。
ビタミンB12
ビタミンB12はアミノ酸・脂肪酸の代謝に関わるとともに後述する葉酸(ビタミンB9)の再合成に関わるとともに、葉酸と一緒に赤血球の形成にも関係する重要な栄養素です。
牡蠣・あさり・鯖など動物性(特に海洋性)食品に豊富に含まれるため通常の食生活で不足することはあまりないとされていますが、植物にあまりふくまれないため菜食主義の方で欠乏症が見られることがあると言われています。海苔にも含まれているのですが動物性食品ほどの量ではないため注意が必要です。
ナイアシン(ビタミンB3)
糖質・たんぱく質・脂質すべての代謝に不可欠であるとともに循環器・消火器・神経系の働きを促進するなどとても重要な役割を担っています。
水溶性ビタミンは基本的に過剰分が排出されやすいのですがナイアシンは皮膚紅潮や掻痒感を引き起こす可能性があるため過剰摂取には注意が必要です。
熱に強いという特徴があるため加熱調理でも失われにくく、赤身の魚や鳥ムネ肉やたらこの他エリンギなどにも含まれています。また体内で微量ながら生合成も行われるため欠乏症が起こりにくい成分の一つと言われています。
パントテン酸(ビタミンB5)
糖質や脂肪酸の代謝を助ける補酵素として重要な働きをします。
体内でも一部合成されるほか幅広い食品に含まれており、これも偏った食事を行わなければあまり欠乏の心配はしなくても大丈夫とされています。
ビオチン(ビタミンB7)
ビオチンは糖新生(炭水化物以外のものから糖・グリコーゲンを生成する反応)や脂肪酸の合成に関係します。レバー・卵・アーモンド・ブロッコリー・納豆など様々な食品から摂取することが可能です。
葉酸(ビタミンB9)
DNA及びRNAの合成、アミノ酸の代謝の他ビタミンB12と共に赤血球の形成に関与します。妊娠前・妊娠中は胎児の成長に大きく影響するため摂取量を増やすことが推奨されています。
レバー・枝豆・ホウレンソウ・ブロッコリー・アスパラガスなどこちらも様々な食品から摂取できます。
まとめ
複数の種類が存在するビタミンは直接ヒトの身体にとってエネルギーとなったり組織の一部になるわけではないのですが、体内で起こっている様々な化学反応を助ける大切な要素です。そんなビタミンについてまとめると
- 直接エネルギーとなったり体の組織を構築することはないが、体内の様々な化学反応を助けるという重要な役割を持つ
- ビタミンには脂溶性と水溶性の2種類が存在する
- 体内で合成できないものがほとんどであるため食事で体内に取り入れる必要がある
- 体内で多すぎても少なすぎても害があるため色んな食材をバランスよく摂取するのが理想
- 食事で補いきれない場合は青汁などの栄養補助食品を使うのもアリ!ただしあくまで補助であることをお忘れなく!
となります。
食生活を見直す時には炭水化・、タンパク質・脂質の3大要素だけでなくビタミンにも気を配ってバランスの良い食事を心がけると健康維持により一層効果が生まれやすいので是非気にかけてみてください。