その昔高校の生物学で「ATP」だとか「グリコーゲン」という言葉を習った記憶がうっすらとあります。
この年になって思い出すとは夢にも思わなかったですが、ロードバイクに乗って少しでも速く走ろうと思えばこういった運動生理学的なものもすこしぐらい齧っておいたほうが何かの役に立つかも…と思い調べてみたので備忘録代わりに書き残しておこうと思います。
人が活動するために利用している根本的なエネルギーは「ATP」
ロードバイクに限らず人間が生きていくうえで欠かすことのできないエネルギーとその供給について。
人が活動する際にエネルギー源となるのは「ATP(アデノシン三リン酸)」という物質です。
酵素によってATPが分解されADP(アデノシン二リン酸)が生成される際に発生するエネルギーを使って各種筋肉を動かすことで活動できるのだそうです。
が、ATPは貯蔵量が決まっておりおよそ「骨格筋の重量比で約0.4%」しか溜めておくことができないので継続的にATPを生産する必要があります。
そのため「ATPを体内で合成する」能力を向上させることがロードバイクで走る能力を向上させることに繋がります。
それでは人(に限らずすべての生物ですが)が如何にしてATPを体内で生み出しているのかを見てみましょう。
1.ATP-CP回路
体内に貯蔵されているCP(クレアチンリン酸)がリン酸とクレアチンに分解され、発生したリン酸とADPを再合成してATPを生み出します。
酸素を使わずに短時間でATPを再合成できるというメリットがある反面、体内に溜めておくことのできるCPがこれまた限られているため人の場合で7~10秒程度しか持続させることができません。
2.解糖系
体内のブドウ糖を水と二酸化炭素に分解する過程でATPが生成される反応が「解糖系」とよばれる反応になります。
こちらも酸素を必要としない反応なので比較的短時間でATPの再合成を行うことができるのですが、同時に「乳酸」を生成してしまうため長い時間持続させることができません。
個人差はあれどおよその持続時間は30~40秒程度と言われています。
3.有酸素系
細胞内に存在するミトコンドリアで酸素を使ってグリコーゲンや脂肪を燃焼させ、その過程でATPを取り出すのが「有酸素系」と呼ばれるエネルギー回路になります。
ATPを合成するのに時間と手間が掛かるため「短時間で大きな出力」を得ることができないのですが酸素とグリコーゲン・脂肪があれば長時間エネルギーを取り出し続けることができるのがメリットです。
ロードバイクに乗る上で必要なエネルギー源は?
一般的にロードレースなどは数時間走りっぱなしであることが多く、瞬間的に大きな出力をだすことよりも長時間出し続けられる出力を向上させることが必要になってきます。
となると脂肪酸を積極的にエネルギーとして利用できる体質になればよいのだと思いますが、そのためには体内のミトコンドリアを増やすことが重要と考えられます。
ミトコンドリアを増やすのに役立つトレーニング領域は順に
- 乳酸閾値(L4)
- テンポ走(L3)
- 耐久走(L2、LSD含む)
- VO2MAX(L5)
と言われており、高負荷インターバルなどではあまり効果が期待できないのだそう。
ミトコンドリアは乳酸の処理能力にも関わってくる要素でもあり増やせるものなら増やしておいて損はないと思うので、乳酸閾値の向上を目指すトレーニングも兼ねて冬の間はメディオを中心に取り組みたいと思います。